山、半ば…

2/34
前へ
/315ページ
次へ
「おはようございます、  おっさん(和尚)。近道ですか?」 亮二の父・亮輔の声に 即隆は振り向いた。 「その先の茂松の月命日や。  同じ身内やからな、ここを  通ると、時間短縮や」 「さっき…何か…  荷札で気になることでも?」 亮輔は即隆の行動を見ていたのだ。 「いや…新聞やらで  見たことある会社の名前や、と。  大したもんやな、そんな会社と  取引やとは。亮二の才覚や」 「ありがとうございます。  あの…本堂で…本堂の仏の箱…」 「本堂がどないかしたか?  ああ、ボロボロやろ、ハハハ。  檀家で守ったってや」 そのまま鼻歌で去る即隆に 足留めする言葉も 見つからぬまま…亮輔は見送った。 そして、 「【芝山建設】…」 荷札を…見つめた………。
/315ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加