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その頃……
春紀と志保、樹は
調布の新居へ、
転宅の準備に来ていた。
独り身用は三階建だが、
家族用は長屋風で
猫の額程の庭もある。
「なんて贅沢なんでしょう!」
小さな台所の次の間は
家族の団欒の間で
その奥には夫婦の部屋。
廊下を過ぎて庭に面した
御不浄に、風呂。
二階は一部屋と納戸になるが
「毎日磨いて暮らさなければ
バチがあたってしまいますわ」
広い家など経験のない志保を
もっと喜ばせたくて
二階の樹の部屋に、勉強机を
春紀は手作りして
予め設置しておいた。
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