山、半ば…

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結婚式の翌日から 新居での生活を始めるだけで よいと…春紀も志保も 考えていたが…… 「ちょうど学校も休みだし、  樹ちゃんは俺が大阪見物でも  させてくるよ、新婚旅行くらい  二人で楽しんで来いよ」 正の気遣いと 「僕も大阪へ行ってみたい!」 樹の気遣いも借りて 春紀は志保と伊豆へ 二泊の新婚旅行へ出た。 列車の中で甲斐甲斐しく 蜜柑を剥く志保の指を見て (そうだ…今夜が  初めてなんだ…) 忙しさから二人きりになる 時間も持てないままに結婚式、 慌ただしく列車に乗って (そうだ…二人の夜なんだ…) 春紀はきっとそんな目をしたのだろう。 志保の頬が華やいで… それから乙女のような 恥じらいを…俯いて…隠した…。      
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