山、半ば…

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「へぇ、葛城さん(春紀)の  お子さんなんやあ」 声をかけてくれる馴染みの客に 「こんにちは」 と、元気に答える樹。 一時間もせぬうちに 近所の子供も一緒遊び始めて 「順応性が、高いなあ…」 感心する正に 「大人は“算段アレコレ”  してしまうからな!」 少し嫌味じみたみどりの声。 すると、 「子供は過去が少ないからや…」 ポソ…と…声が通路を過ぎる…。 「ほな、またくるわ」 立ち上がったのは いつもの上物の着物の男。 「センセー、また  おこしやす!!」 女将が笑顔で送る。 少ない言葉が余韻が残る男を (センセー?どういう人物…  なんだろうか…) 正を後姿をしばし見つめた。
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