山、半ば…

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正はたまに… この夢をみる…。 広島の家なのに… 正はいつも“大阪で知り合った茜”の 名を呼んで慌てている。  (過去と今が混乱や…) 馬鹿な自分を正は笑うが… …夢見のあとは 異常なほどの動悸が続いて…     次には寂寥…       言うに言えぬ寂寥。 茜の胸の中でまた眠りにつく。 そして朝がきて… 「おじちゃん、起きて起きて!」 樹が呼びにきて (ここは…大阪…俺は…) シベリアからここまでの記憶が オーロラのように 頭を渦巻いて……… 正は“今の自分”へ還るのだ。 (いつまで彷徨うのか…) …答えが見えてこない自分が 正はもどかしかった。
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