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同じ朝を、新婚旅行の
春紀と志保は宿の部屋で
向かい合わせの朝食にいた。
芝山夫婦が用意してくれた宿は
自分達では到底考えられない
高級宿で、東屋の前には
一面の海原が輝いていた。
「美味いなあ、もう一膳
貰おうか?」
「…はい…」
茶碗を受け取る志保の指が、
昨夜…自分の背中を
回遊して跳ねていたことを…
春紀は思い返して
青年のような鼓動になる。
「朝からホントに贅沢だわ」
「戻ったらまた忙しいんだ。
うんと贅沢して、骨休めを
すればいいさ」
“骨休め”と言っておいて
(今夜も俺は志保を
寝かせないのだろう…)
突然箸を置き、
「一日中…抱いていたいよ」
春紀は志保の手を握り
いつまでも見つめた。
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