山、半ば…

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みどりは蕎麦打ち棒を二本持ち、 店の戸を観音開きにして 「『あほんだらーーーー!!』  言うて軍人四人を摘み出して  バシバシバシバシバシ!」 時代劇のように真似た。 「向こうは、剣に手をかける  ヒマもなかったんよ!」   茜もスカッとした表情で言った。 「あの後、ここらに駐屯して  我が物顔やったその陸軍部隊が全部  最前線へやられたって聞いて  もう一回スカッとしたわ!!」 みどりの言葉に正は (“普通の隠居”とは違うなあ) 尚更に不思議が残る。 (いつも俺達のことも  騒がしくしても嫌な様子も  なしに過ごしてくれてるし…  たまに助け舟も出してくれる…) 「芝山社長さんとも  古くからのお付き合いやわ」 女将の言葉はなお 正の興味をそそった。    
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