慕   情

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蓉子の勢いに押されて 「今日のところは…」 と、近藤は屋敷を辞した。 「どうして…今頃…」 幸せに水を挿された志保の手は カタカタと震えていた。 そこへ、 「今、戻ったら、お隣さんから  話を聞いて…」 慌てて春紀がやって来た。 「まったく自分勝手も甚だしい!」 「どういう神経なんだか」 「どうせ自分の老後が心配で  樹君をアテにしてるのよ」 「次はみんなで、叩き出して  やりましょう!!」 防空壕以来の女子寮の仲間は 竹内家の横暴に、団結して 志保を励ました。
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