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「そうでしたか…
即隆和尚の御意見は?」
「悩んでおいでだったけれど…
何分父上母上も高齢に
なってはきてるだろう?
せめて親には会わせたい…とは
仰ってらしたが」
「弟さん御夫婦のことや
お子さんのことは引っかかり
になるでしょうね…」
「亮一…葛城君も再婚したとはいえ
全てを乗り越えているわけじゃない。
過去に対峙することで
自分では想像すらしない
憤りや悲しみを再燃するかも
知れないし…弟さん夫婦の
良心の呵責は、思わぬ不幸を
招くことになるかも知れない。
ましてや、お子さんは
“お化け”に供え物をしてる
そうじゃないか…」
娘・鈴子と同い年のたま子の行為に
松堂は、同じ親として
涙を誘われずにはおれなかった。
「まったく…どうしようもない
“罪つくり”ですよ、戦争は」
芝山は膝を拳で叩いた。
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