慕   情

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大人達がざわめく中… 「ただいまあ」 樹が近所の子供達と帰宅。 「お腹、へっちゃったよ」 何も答えない志保に代わって 「さっき、団子屋さんに  樹君達…いなかった?」 茜が尋ねると 「そうだよ。そうそう  前に道案内したお婆さんが  オヤツを御馳走してくれたんだ」 なんの躊躇なく回答。 「そういうことはちゃんと  お母さんに言わんとアカンよ。  お姉ちゃん、見かけたんやけど  誰かなあって心配したんよ」 「そうなの?ごめんね、母さん」 樹は笑いながら家へ入った。 「俺の勘違いかも知れんから  今夜は…このままで」 「ああ…正の言う通りだ…。  志保、今夜は何も言わずにおこう。  明日にでも、近藤弁護士に  僕が連絡を入れてみる」 春紀の抱く腕で 志保は何度も、自分を 納得させるように頷いた。      
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