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一瞬で…近藤の胸が
苦しくなるような
敦子の暖かな視線は
一途に樹を差していた。
孫を見ると言うよりは
遠い日の…息子を見るような瞳。
死んだ志保の前夫は
近藤とは同級生であったから
その面影は見て取れる…。
息子が家を棄ててからの
この老母の寂しさを
折に触れて承知の近藤に、
今の敦子を咎める言葉が浮かばない。
(さて……)
首を傾げていると
(来てたのか…)
右手の方で、
樹と敦子を見つめる
春紀夫婦の姿があった。
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