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「さて…何から…
僕達が話し合うべきか…
悩むところなんですが」
「いえ、葛城さん。
まずは僕が詫びねばなりません。
奥様の行為を…お許し下さい」
近藤の言葉に穢れは、なかった。
そこには…
「義理堅い良い方ね、近藤さん」
蓉子の言う近藤の人柄。
(勢いをつけて、鎧をつけて
“敵”と見做してここへ
やってきたけれど…)
“桃源郷”のような
この芝山屋敷の邸内で
近藤は、素直にあたるべきだと
真摯に考え始めていた。
「その義理以上に奥様は…
亡くなった旦那様は、
僕を大切にして下さいました」
その言葉に…志保は
親を亡くした遠い昔を思い返した。
「私も…そうでした…。
奥様には可愛がって
戴いていたのです…」
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