112人が本棚に入れています
本棚に追加
「人間ってね…仏にもなれるし
鬼にもなれる生き物だと思うの…
心にゆとりがあれば、
多少の難儀を許せるのに、
ゆとりがないときには
単純明瞭なことも許せない…。
かと言って仏でも鬼でもない
“人間”だから、後になって
後悔や良心に囚われてしまう」
蓉子が呟いて…
心当たりのある全員が
微かな頷きを、何度も何度も。
春紀にしろ、そうであった。
自分を死んだと見限った親を
理解して故郷を捨てたと…
納得している自分は仏。
“生きているなら会いたい”と
言われてみれば恨み節が出て、
親をソッポを向く自分は鬼…。
悟ったつもりの毎日は
相変わらず“南無”と…
“南無”と問うて
見えない“法蓮華経”に
惑い続けているのだ。
最初のコメントを投稿しよう!