慕   情

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「では、また後日」 近藤は、玄関で挨拶して 「私、樹を迎えに…」 「いや、ついでに僕が  声をかけますよ、お隣だもの」 志保を制した。 それからすぐ隣の浜屋家へ…。 呼び鈴を押して、 「ありがとうございました。  樹くんをおねがいします」 声をかけた。 「はあい」 走ってきた樹の後に百合香。 薄いベールの被り物から 柔らかな笑みが見えた。 三人で玄関灯の横に立つと 晩夏の月がこちらを見ていた。 「涼しくなってきたなあ…  夏休みも終わっちゃう」 つまらなさそうに笑う樹の頭を 優しく撫でる百合香…。 (事が良い流れになったからか…) 近藤は百合香の横顔に 言い難い安らぎを感じていた。
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