112人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、近藤に伴われて
葛城家を訪れた敦子を見て
「あれ?深大寺のおばあちゃん?」
驚く樹を、
「実はね、本当に“おばあちゃん”
なんだよ、樹の。亡くなった
父さんの母さんだ。お前に
どうしても会いたくて
田舎から出てきてたんだ」
敦子の前に、春紀は座らせた。
「死んだ?父さんの?
なんで今頃?」
子供なりの素直な言葉に
敦子は身を縮めた。
「それはね、気を遣って
来れなかったんだ。
今、樹にはお父さんが、
僕がいるだろう?」
「なら、お父さんはいいの?」
気兼ね多い暮らしで育った樹の
こういう箇所が切ないと
春紀も、志保も、そして
敦子も胸が痛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!