慕   情

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翌日、近藤に伴われて 葛城家を訪れた敦子を見て 「あれ?深大寺のおばあちゃん?」 驚く樹を、 「実はね、本当に“おばあちゃん”  なんだよ、樹の。亡くなった  父さんの母さんだ。お前に  どうしても会いたくて  田舎から出てきてたんだ」 敦子の前に、春紀は座らせた。 「死んだ?父さんの?  なんで今頃?」 子供なりの素直な言葉に 敦子は身を縮めた。 「それはね、気を遣って  来れなかったんだ。  今、樹にはお父さんが、  僕がいるだろう?」 「なら、お父さんはいいの?」 気兼ね多い暮らしで育った樹の こういう箇所が切ないと 春紀も、志保も、そして 敦子も胸が痛んだ。
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