慕   情

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「いいんだよ。父さんも独り、  母さんも樹と二人で…  寂しい暮らしだったよね?  それでもここの人達がいてくれて  僕らは家族になった。  どんどん増えていくのは  いいことじゃあ、ないかい?  みんなで…みんなで幸せに  なりたいと思わないかい?」 「うん!!そうだね!!」 樹は敦子の顔を覗いた。 「おばあちゃん、僕の部屋を  見せてあげるよ。父さんに  作ってもらった机も本棚も」 樹の誘いに、敦子は 遠慮がちに志保を見るが 「さあ、どうぞどうぞ」 志保は敦子の手を取った。 近藤が丁寧なお辞儀を 春紀にして、春紀も頷いた。 (こんな子供がすんなり  場面を受け入れるというのに  俺は…親父の重荷すら  おろしてやれない人間なのか…) “負うた子に教えられ”…… 春紀の心は決まった。  
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