灯り燈せば…

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「伯母様、浜松の家では  下の息子さん御夫婦と?」 「せや、かず子さんも  知ってなさるやろ?  上の子が、牧の原の茶園を継いで  下の子が蜜柑畑を継いで…。  義兄さんが亡くなられてからは  ずっと浜松や。お孫さん方は  名古屋の大学へ行ってられるから  浜松は今、三人やわ」 かず子は頷きながら 戦争を挟んで途絶えた往来の復活を 「お義父さん…伯母様と  よい再会になりますね」   真実も知らずに喜んだ。 この間に東京では、 父子が無くした時間を 取り戻すように 愛しく語らっていたのだ。
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