灯り燈せば…

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ポツリ…ポツリ…と 東京へ来てからの話、 芝山一家や寮の仲間… 志保との経緯(いきさつ)や人柄、 たま子と同い年の息子を得たことなど… 父に語りながら春紀は 車を調布へ向けた。 「今夜は疲れたやろ?  有名な寺のそばに  宿を取ってるんや。  今夜は二人でそこに」 父の上京予定を聞いてから 何処でどう過ごすかと 考えていた春紀に  「やはり、うちに来て戴いて   私達の暮らしを見て貰うほうが」 志保から出た提案。  「よくよく話を伺えば   貴方も…木曽の家と似たような   旧家でしょう…私みたいに   無学な女を認めて戴けるか   不安だったけど…私…   認めて貰えるように   一生懸命、努めます」 “つまらぬ心配を”と言いかけて 春紀は、志保を抱いた。  「僕達は愛し合って   家庭を持ったのだよ。   祝福せぬ父ではない」 その言葉通り 「明日は女房子供に  会うてもらうわ」 「ああ!ああ!!  楽しみや!!」 亮輔は何度も何度も頷いた。   
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