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目出度い東京に対して、
紀州かつらぎへ戻った亮輔を
待っていたのは
“かず子流産”という災難。
「明け方に具合が悪くなって…」
病院から戻った衣玖に
話を聞いた亮輔は顔を曇らせた。
「また、出来ますよ。
気を落とさないで」
衣玖は慰めてくれたけれども
亮輔の落胆は
(東京での亮一に、安心した矢先)
というあたりの分が多い。
またしても、妻に打ち明ける機を
逃してしまった亮輔…。
「亮二は夜まで病院へ
残るみたいです」
孫達を世話しながらの夕食。
「おかあぁぁぁさぁぁん」
泣いて愚図る下の子を
「大丈夫だよ、お母さんは
すぐに帰れるから」
抱いて宥めるたま子を見ると
亮輔は涙が出そうで唇を噛んだ。
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