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目出度い東京の春紀の家と
芝山邸に、浜松の龍子から
売る程の蜜柑が届いた十月。
「早く伯母様に御礼の電話を」
芝山夫人・蓉子に促され、
芝山邸から龍子に
春紀が電話をかけると
受話器の向こうで龍子の
むせび泣く声がして
春紀もハラハラと落涙。
順番に志保も樹も電話を代わり…
何処にでもある身内の光景に
芝山夫婦も感無量の夜となった。
電話を貰った龍子は、
はっきりと聞いた甥・亮一の声に、
生還の喜びをはっきりと
受けたと同時に
(子供まで生まれるんやあ)
降るように続く幸運に、
やはり同じ女として
母親として
(衣玖ちゃんに知らせたい!)
この気持ちは強まった。
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