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昨年、
「家族社宅は個人の持ち物に
したほうがいいのじゃない?」
芝山社長夫人・蓉子の計らいで、
破格で社員が購入出来るように。
銀行への月賦に、税金と
多少は今までよりも
家計は厳しいところだが、
「なんといっても自分の
“お城”なんですもの!
節約だって苦じゃないわ」
志保は嬉々として倹しく
家事や育児に励む毎日。
そんな母を大切にする樹は、
「勉強で親孝行するよ!」
今まで以上に机に向かう
時間の増えた中学生。
学校帰りは剣道の教室にも通う。
教室は松堂芳嗣の紹介で
あったから樹よりも
年長者がほとんどで
「行儀が身についてよかったわ」
と、志保が喜ぶように
樹はさらに評判の息子になっていた。
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