時は流れて…

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「アメリカでは、日本製の  ブラウスを“ワンダラーシャツ”、  1ドルで買える“安物既製品”と  蔑んでいるけれど、いずれ  丁寧な縫製の日本商品は  世界の注目を浴びるはず」 国内外の情報に(さと)い蓉子は 麻子が見込んだ縫製上手達を (かしら)にして既製服工場も設立、 仕事を求める者が 生活の成り立つ術を 見出していくことで、 政治家としての夫を支えていた。 そんな蓉子の元に集まる女達だから 自ずと精神力をあげてゆく。 (か弱い女と思っていたが…) 時折春紀は苦笑するくらい 志保も強い女、母として 日々逞しくなっていた。 もっとも 「ベタ惚れだね〜」 などと、他人に冷やかされるくらい 春紀に尽くしていることは 時が経っても変わらないのだが。
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