時は流れて…

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尽くすという言葉を使うなら、 女子寮で教育係的役を 務めていた美子は、 かねてからの恋人・自転車屋の加藤と 世帯を持って駅前で暮らしていた。 子供のない二人には 加藤の弟の他、 芝山が世話をしていた 三人の戦災孤児が、 自転車屋を手伝いながら 学校へ通い、皆で 賑やかに暮らしている。 その子供達の教育に 余念ない美子の元には いつの間にか 近所の子供が集まり、私塾となり、 界隈では好評だった。 戦火を彷徨っていた者達は、 戦後の成長へと 自らの歩みを しっかと地に踏んでいた。
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