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傷心の坂田の様子が
気がかりであるから、
芝山は月に一度、戸田まで
整髪にやって来る、何年も。
むろん、春紀や正以外の
収容所仲間達も
日を替え、土産も持ち、
この坂田理髪店を訪れていた、
“女丈夫”のその名の通り
夫を待ち続けた坂田の細君が、
夫の分まで働き、夫を労って
ささやかに暮らしているこの店へ。
「ただ、この人がいることが幸せ」
と、笑う細君に
会えぬ家族を重ね合わせて…。
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