時は流れて…

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「お茶屋さんで  お饅頭たべようか?」 鈴子が指した店は “ぶらくり丁”で有名な茶葉屋。 ちょっとした菓子も 置いてあるから 女子供に人気があった。 「やっぱり“ぶらくり丁”は  賑やかだねぇ、かつらぎとは  大違い、ふふ」 たま子は途切れない人並みを 眺めながら感心して言った。 二人がいる“ぶらくり丁”は 和歌山城丸の内からのびた商店街。 吹上にある和歌山大学の学生や 余所の国の戦争景気のせいやらで 増えた工場の勤め人が、 仕事帰りに買い物や食事にと 楽しげにあちこちの店にいた。 「たまちゃん、どうする?  高校?そこの女子校?  近所にいく?大阪?」 「……そうだね…」
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