時は流れて…

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鈴子と別れてから 電車に揺られて 最寄り駅に到着すると、 即隆の寺へと寄り道をした。 右手には茶葉の袋、 青々とした緑が香しい新茶の葉を、 今日の供え物に選んできたのだ。 「美味しいよ。トウチャ」 手を合わせて一声…。 それから…深呼吸… 気分を切り替えるように。 石段をゆっくりと降りてゆく…。 それを静かに見送る狛犬… ……の陰にいたのは即隆。 たま子の家にもある婦人雑誌を 彼も手に持っていた。 その最新号には  【高級住宅特集】 の記事が。 その住宅は芝山建設の施工。
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