時は流れて…

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むろんその雑誌は 東京調布の志保の手元にもある。 「ああ…嬉しい…」 雑誌がシワになるほど 抱き締めるものだから 何冊も何冊も買ってしまうのだが。 「学校の女の先生も  『憧れの家具だわ』って  言ってたよ!」 鼻高々の樹。 やはり彫刻の腕前は なかなかのもので よく学校でも表彰されていた。 知らぬ人は  「やはり血は争えぬ」 などと噂もするほどに。 庭では春紀が紀子を抱いて 日向ぼっこ……。 良い位置に、無患子の木。 これは、上手い理由をつけて 会社経由で紀州の亮輔が 用意したものであった。
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