112人が本棚に入れています
本棚に追加
その不思議を…
亮真の実父・亮二こそ
強く感じていた。
子供の頃から風邪一つ
ひいたことがない亮真の、
同年の子よりひと回り大きい
その身体つきは兄そのものだった。
(おそらくは立派な惣領になる)
それは予感出来た。
両親もそれを望んでいることにも
……わかっていた。
(この子に兄が宿るなら
それも良いではないか…)
自分でもそう思うのだが、
唯一血の繋がるたま子を
他家へ嫁がせるのは
どうにも気のひける亮二なのだ。
(俺は兄貴の死を
“喜んで”しまった人間)
愛のために自ら堕ちた
“人でなし”の道を
亮二が悩まぬ日は
なかったのである。
最初のコメントを投稿しよう!