時代の春

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“愛”というものが 残忍であることを 亮二の妻・かず子も身に滲みていた。 たま子も中学生になり、 亮二との間の子・亮真に亮平も 元気に育っていた。 家事と育児に追われる毎日… もう昔ほど亮一(春紀)を 思い出すことも…なくなった。 家族五人で過ごしていると 物言い穏やかな亮二に似た たま子すら、亮二の子と 錯覚しそうなくらいなのだ。 但し、相変わらず続く “たま子の供え物”を見る度には 亮一を思い返さずにはおられない、 自身の薄情を責めずには 到底おれないかず子…。 だからこそ、心優しい夫・亮二の 救われぬ苦悩が手に取るように 判って…胸は痛み続けた。
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