時代の春

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忙殺…まさに忙殺の東京で、 志保・樹・紀子と過ごす  休日だけが楽しみの春紀も、 庭の無患子を見て たま子を思うことはあっても、 すでにかず子を想うことは ……ほぼ…なかった。 その理由の一つには (俺は東京で生まれ変われたから) ……ということ。 帰還仲間の数人は、 東京での暮らしに馴染みも出来ず、 帰りたい故郷には 己れの墓石が立つ始末に 数年も藻掻き苦しみ… 酒に溺れ…死んでいった者も 少なくはなかったから。
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