時代の春

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帰還の安堵が疲労になり ついガード下にしゃがみ込むと 同じような境遇の者、 行き場のない者が、 実は結構たくさんいて… 用事のある忙しそうな人の脚を ただ、ボンヤリと見ていた。 隣には老いた男と… その子供だろうか…孫… 春紀の鞄から見えた 菓子の袋をじっと見ていた。 すると…  (まさかたま子もこんなに   飢えたりするようなことに   なっているのではあるまいか) そんな不安が不意と過ぎって 立ち上がり、菓子をその子に与えて 急いで汽車に飛び乗った。   
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