時代の春

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(手紙がもしも届いていたら?  “葛城春紀”という人間は  生まれなかったであろうか…) 水上と別れてから 寺に戻るまで… ずっと考えていた即隆。 帰りがけの本屋で買った 建築雑誌にはまたしても 春紀の記事が載っていた。  『 木材を知り尽くした男 』 と称される欄間には 荒振る龍が一匹。 (天賦の才の為せるのか…  心の闇を潜った者の為せるのか) 今はただ、この二つを生きる 春紀を見守るだけの即隆であった。 d6d00d34-43b5-4629-94fd-26f5d46bbb0d
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