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変わりゆく雲
議員会館を出た芝山修三郎は
皇居通りを過ぎたところで
車の窓を開けた。
「やれやれ昔の東京に
なってまいりましたね」
「そうだなあ…
ちょいと前まで
進駐軍がテントを
構えていたのが嘘みたいだ」
が、新たな法が成立して数年、
見えぬベールの“進駐軍”と
(さて、どう渡り合うのか…)
今日も厳しい会議の連続だった。
しかも…
繁華街を車がゆくと
ゴミ箱を物色する老若男女…。
(まだまだ豊かな暮らしはない)
…あれこれを思ううちに
車は少しずつ田園風景…。
調布の我が家の門へ入ると
「おかえりなさい」
愛妻・蓉子が笑顔を向ける
傍らに……
飼い犬と…いつのまにやら
居着いた仔猫が戯れていた。
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