変わりゆく雲

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その菓子とスカートに 高価な“花図鑑”が、 “浜松の龍子”から かつらぎの山奥に着いたのは          …数日後。 「これは粋な菓子やなあ」 「ああ、エエ柄のスカート  “あのひと”は生地を  選ぶんが上手いから…」 義父母が話す言葉に かず子は不意と疑問を持った。 送り主はいつも浜松の 亮輔の姉・龍子。 (選んで下さるのは…  “あのひと”は…  お嫁さんかしら…?) …に、しては 流行のモノやハイカラなもの。 そして“花図鑑”。 「うわあ!この本、   ものすごく欲しかったの!  花の香りも例えにして  詳しく説明してある本なの」 足を弾ませ自室へゆく たま子を見るかず子は 胸の片隅が、釈然としなかった。
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