変わりゆく雲

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高い空を鳶がゆく… 石段を登りきった本堂前で 亮二は腰を下ろした。 022bbd8f-2c86-4177-be48-0d3b953016c8 「木の生え具合を見てくるよ」 そう言って家を出たが 本当は独りになりたかった。 少し、気にかかることを …聞いたのだ。  『驚いたわ、東京で   ここの戦死した長男さんと   そっくりな人を見たんや。   洒落た紳士って感じで   ここらの山男には   程遠いけど…横顔が…   そりゃもう“生き写し”』 世の中には三人くらいな 似た姿形の人間がいる …というくらいだから (単なる偶然だ) 言い聞かせる自分と (戦死と言っても  遺体を返してもらった  わけではない) …怯える自分。
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