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早朝の境内を
手伝いの者と
「掃除するか」と
即隆が草履を履くと
上に座す宮から
降りてきたたま子と会った。
「えらい(とても)早い
散歩やないかあ、
日曜やのに」
「おはようございます。
目が覚めてしまって…。
それに朝早いと
霜の湿り気が
木の匂いを高めるでしょ?
つい、窓を開けたら
外に出たくなりました」
「…そうか…」
クンクンと朝の匂いを
鼻いっぱいに楽しむ
たま子の横顔に
(あの夏も…こうして
本堂の亮一(春紀)の匂い…
探しとったなあ…)
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