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たま子の希望を
「京都…やはりか…」
かず子が初めに相談したのは
舅・姑の亮輔・衣玖だった。
「『やはり』?と
おっしゃいますと?」
余り驚きのない二人…
訝しむかず子を
「あ、いえいえ…ほら…
あのピアノの…松堂さんの
お嬢さんが京大やと…
ねえ、あなた」
「おうおう!友達やから
一緒に行きたくなるんや
ないかなあと…なあ、お前」
二人はなんとか誤魔化した。
そして、亮輔は縁側に立ち、
山を見上げた。
「そろそろ跡取りのこと、
ちゃんと決めんならんと
ワシも考えていたとこや。
亮二は…亮一(春紀)に
遠慮して、たま子に
婿を取って跡を…という
気でおるようやけど
ワシとばあさん(衣玖)の
考えは違う。跡取りは
亮真にすべきや」
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