冬 の 影

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老いた祖父・亮輔は (たま子の大学合格が  決まったあたりで…) その前に 「たま子はいずれ、  “嫁に出す”、跡取りは  亮真と決めてエエか?」 息子であり、今の家長である 亮二に切り出した。 「父さん…どうして…急に?  それにたま子を“出す”  なんて…また…」 孫娘を掌中の珠とする 亮輔の言葉とは 思えない亮二に 「いや…今までの  お前のたま子への  気遣いが…そのうち  お前とたま子の負担に  なってもいかんと  前から思うてたんや」 隣で伊玖も頷いた。
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