序章  帰 還

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終戦を知る前に シベリアへ連れて行かれた。 どれくらいの月日が 経ったのか・・・ なんの考えも出来ぬまま だだ生を繋ぐだけの日々・・・。 ある日、いきなり 「帰っていい」と。 よく眠って、腹が一杯になると 訳なしの憤りとともに 恋女房のかず子の顔と 四つになるやならずで別れた娘、 たま子の顔が、 たま子の顔が・・・。 それだけを胸に、 胸に抱えて 故郷へ急いだ。
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