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考え込むことの多い夫に
かず子は気づいていた、
そして、たま子も
「私の大学のこと…
お父さん…よくは
思うてへんのかなあ」
奇妙な空気の流れる家庭に
相変わらず気遣いをする。
「大丈夫、大丈夫」
娘をまた気遣うかず子。
そんな二人の慰めは
たま子の、歳の離れた弟達。
亮真はもうすぐ十に
亮平は小学生に。
いつも元気に朗らかに、
家庭に明かりを灯す。
主婦であるかず子は無論のこと、
たま子もまた
(弟達の家を守ることは、
自分を大切にしてくれる
“お父さん”への孝行…。
そしてなによりも
そうしなければ
“とうちゃ”に
申し訳が立たない)
…そう考えるのであった。
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