冬 の 影

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「そんなこと…いけません!  樹は私の“連れて”きた子、  春紀さんに育てて戴い」 「志保さん…アンタがいたから  樹がいてくれたからこその  亮一…春紀の二つ目の  人生やったんや!」 「ホンマ、ほんまに  主人の言う通り。  酷い親の差配(弟との再婚)を  志保さんと樹が  芯から拭うてくれたから  今こうして 葛城春紀  という男があるんやあ…」 手元にあった雑誌の “建築家・葛城春紀”の 名前を撫でる衣玖の手には涙。 それから 「拝みます!何百、何万  拝んでも、アンタと樹という  仏様には拝み足らん…」 その手を志保に合わせた。  94d287a8-2dd0-43cf-b1c2-b59c10e2c82a  
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