112人が本棚に入れています
本棚に追加
東京の春紀の家で
衣玖が見ていた同じ本を
春紀、亮一の弟・亮二は
東京のホテルの一室で
独り見つめていた。
予予疑念のあった人物、
葛城春紀 という男について
他人を介して調べた結果、
(どうしても見てみたい)
気持ちを抑えられずに
『大阪で仕事』と
周囲に嘘をついて
上京していたのである。
拡げた雑誌の上には
一枚の写真。
「工事現場でたまたま
写っていた」
と、言われて手に入れた
春紀の横顔。
「にいさん……」
確信に震える指で
酒を煽った。
最初のコメントを投稿しよう!