冬 の 影

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東京の春紀の家で 衣玖が見ていた同じ本を 春紀、亮一の弟・亮二は 東京のホテルの一室で 独り見つめていた。 予予疑念のあった人物、 葛城春紀 という男について 他人を介して調べた結果、 (どうしても見てみたい) 気持ちを抑えられずに 『大阪で仕事』と 周囲に嘘をついて 上京していたのである。 拡げた雑誌の上には 一枚の写真。  「工事現場でたまたま   写っていた」 と、言われて手に入れた 春紀の横顔。 「にいさん……」 確信に震える指で 酒を煽った。
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