吹   雪

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震える指で雑誌を持って 小さな小さな写真に 目を凝らした。 (これは絶対に亮一さん!) 一度は夫婦になったかず子… 諦めるには長い月日を 費やしたかず子… 見間違うはずはなかった。 「で、でも名前が…  東京?…建築家?」 混乱する脳裏に 「た、反物箱!?」 かつて即隆から たま子への手土産にと 足利銘仙の反物があった。 (あの木箱の細工は  やはり…亮一さん!  だったら…だったら  おっ様(即隆和尚)が  何かをきっと……!!) 針で刺したように 胸がチクリと教えた、 「"匂いのおばけ”…」 たま子が寺へと オヤツを運んでいた       遠い夏……。      3b666e28-c60f-464f-a36d-1849f092a473
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