吹   雪

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そんな紀州の様子も知らず 葛城春紀は、仕事に励んでいた。 a4e6da69-fe34-4ead-b0fd-b6fe8e505e02 「やはり無理をお願いして  葛城くんに頼んで良かった。  この手の施工では  君なくして語れんよ」 都知事の賛辞に 社長の芝山修三郎も 春紀の肩を叩いて笑んだ。 東京都の公園内に設置の 迎賓館的家屋。 これは春紀の自信作で 現場に熱心になるが故 新聞・雑誌が建物に 紛れて自分の姿を 写していたことなど 梅雨ほども 気づいていなかったのだ。 「開館の日は一番に  写真を撮りにいかなきゃ」 その日を暦に印して待つ 妻・志保との暮らしにも 充足の春紀。
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