序章  帰 還

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「お、和尚(おっさん)さんやないですか」 和尚は無言で俺を 扉の閉まった本尊さまの お堂へと引き入れた。 「・・・生きておれたのかぁ・・・」 和尚の唸るような声。 感動してくれてる・・・ 様子ではない、少し違う。 「な、なにか、(うち)に何か?!」 「うぅ・・・うううん」 ただ唸る和尚。 唸る理由はかず子が お堂の前に立った瞬間に判った。 お参りに来た妻・かず子の 「 エッ?! 」 大きな丸い腹に息を呑んだ・・・。 そして、 三つ違いの弟が 後からやって来た・・・。  *紀州一部地域では   『和尚さま』を『オッサン』と   呼びます。
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