序章  帰 還

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「独りは危ないと  いうたやないか」 「はい・・・」 「安産祈願なら僕も  一緒にくるんやから」 「・・・お仕事が・・・  忙しいやないですか・・・」 「仕事よりアンタの方が大事や」 「すんません、ありがとう」 どう見ても“仲睦まじい”二人。 頭に血がのぼって ジタバタする身体は 和尚の剛腕が羽交い締め。 とうとうそのまま 御参りを終えた二人を ただ、見送るだけに・・・。 「すまん・・・すまん」 和尚は腕を解いて呟いた。 事の流れが・・・ ここに存在しなかった自分に 起こった出来事が・・・ 白日夢のように揺れるだけ。
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