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和尚は独り暮らし、
世話にくる妹は
朝来たら昼には帰るので
潜むには丁度よかった。
ただ “潜む” ・・・?
なんで俺が潜まんとならんのや!
怒りで寝付けないまま明け方、
読経を聴いて昼・・・
和尚の妹が帰るまで
ただ横になってた。
「蝉時雨か・・・」
経に交じって生を貪る
短命の蝉が
煩いやら・・・・・・
憐れやら・・・・・・。
憐れ・・・憐れやないか、
『いけ!』と命令われて
戦地へやられ、放り出されて
寒いとこで働かされて
・・・それでも、それでも
家族が待っててくれると
信じていたから、極寒の地に
指が千切れそうな目に合うても
辛抱してきたんやあ・・・。
悔しさに身悶えしても
無くした月日が
何処にも・・・・・・何処にも
ないやないかあ・・・・・・。
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