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仕事終わりには職人達を
労いがてら近くの店で
酒を呑んで帰ることも
板についてきた春紀が、
この日も軽く一杯やってから
寮へ戻ったのは八時過ぎだった。
寮の前では数人が
女子寮の女や子供達と
花火に興じていた。
「カッチャン(克也)が
持ってきてくれたんだ」
言いながら正が
子供達の花火を点けると
パチパチと柔らかい音がして
焦げた夏の匂いがした。
やはりさり気なく
志保がビールと軽食を用意。
「理想の嫁サンだなあ」
誰かが呟いて
ちょっと春紀は胸か騒いだ。
つけ入るように
「早くなんとかしないと
トンビに油揚げを
拐われるぞ、ハハハ」
正が春紀を誂う。
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