夏  嵐

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世の中とは、まったく奇妙なもので 自由にものを言うことも 儘ならぬ世情であったことが 信じられない程に 好き勝手に物を言い、 好き勝手に行動する風潮が (やたら増えたような…) さっきの駅の若者を思い返し、 春紀は電車に揺られながら 志保をちらちらと見ていた。 (御主人とは“駆け落ち”と  言ってた…それから、自分は  “貧しい木こりの娘”とも…。  いったいどんな男と、どんな風に  恋に落ちて…ここに…) 最近の春紀は、 和歌山のことよりも やはり志保が気になるのだった。    
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