夏  嵐

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日々の心の変化は… 暮らしに染まるものなのだ。 和歌山のかず子も 亮二との第二子を、 早産にはなったけれども 無事に五体満足に出産、 安堵と幸福に日々を過ごしていた。 「名前…なかなか決まらん、ハハ  親父も女の子かと思うてたみたいや」 「ウチの男子は頭に“亮”でしょ?  遡ると時代劇みたいな名前に  なってしまうし…どうするのかな」 亮二とたま子が話す横顔を、 (やっぱり似てる…) かず子は最近…よく思うのだ…。 伯父・姪であるのだから 顔が似ているのに不思議はない。 けれど、本や音楽が好きなところなど 亮一よりも亮二の趣味。 庭を走り回る長男・亮真は 活発で…亮一にどこか… 似ている・・・・・・・・・。 (“生まれ変わり”って  あるんやろうか……?) まだ人間らしからぬ顔の 我が子に乳を含ませながら 亮一が、想い出になりつつある かず子であった・・・・・。
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